ベトナムの競争力:2019年世界競争力ランキングで上昇
- ベトナムの競争力は10位上昇し67位へ改善(2019年世界競争力ランキング)
- ベトナムは市場規模とICTで高評価、一方、技術力、制度については低評価
- 海外の企業からベトナムのビジネス環境が注目
ベトナムのビジネス環境は、世界経済フォーラムにの2019年グローバル競争力ランキングによると、ランキングの上昇を記録しています。
このレポートは、世界のGDPの99%を占める141か国を対象としています。このレポートでは、機関、インフラストラクチャ、ICTの採用、マクロ経済の安定性、健康、技術力、製品市場、労働市場、金融システム、市場規模、イノベーション能力など、複数の要素を基に測定します。
今回の報告によると、ベトナムの2019年のランキングは67位として、昨年の順位から10位ものランキング上昇を記録しました。さらに、報告書では、東アジアは世界で最も競争力のある地域とし、シンガポールが米国を抜き首位に位置しています。東アジアの次に、ヨーロッパと北米が記録しています。
ベトナムは市場規模、ICTいおいて高評価
ベトナムは、市場規模と情報通信技術(ICT)の点で最高位として評価されました。市場規模は、GDPと商品およびサービスの輸入によって決定します。ICTの評価は、インターネットのユーザー数と、携帯電話、モバイルブロードバンド、固定インターネット、サブスクリプションサービスによって決定します。
ベトナムは技術力、制度は低評価
一方、評価が悪かった分野として、技術力、制度の要素でした。技術力は、国内の現在および将来における技術力が合わせて分析・評価されます。制度は、セキュリティ、透明性、コーポレートガバナンス、および公共部門によって評価されます。
ベトナムは世界経済によって好影響
ベトナムは、従来から製造拠点としてよく知られてきました。
ベトナムとの自由貿易協定および安価な人件費により、投資家は事業を移してきました。最近の傾向として、アメリカと中国との貿易関係の悪化により、より多くの企業がベトナムへ進出するようになってきています。バンクオブアメリカの調査によれば、アメリカへの輸出は6億ドルの黒字を記録しています。
報告書では、次の点においても報告されています。
ベトナムの労働力
ベトナムは米中貿易戦争の恩恵を受ける中、ベトナムの安価な労働力はより多くの企業をひきつけています。熟練した労働者は多くなく、若く教育が必要な労働者が多く、トレーニングに時間を要するのが実情です。そのため、政府は職業訓練校と技術センター等の整備を図る必要があります。
ベトナムのコーポレートガバナンス
各国の自由貿易協定の恩恵から、ベトナムに対する直接投資が増加を示している一方、コーポレートガバナンスの問題に直面しています。ベトナム国家証券委員会は、公開企業に対して、ベトナムコーポレートガバナンスの報告書を公表しました。
しかしながら、いくつかの企業は、情報入手に継続的な問題があることを指摘しています。事業運営を進めるにあたり、銀行や政府機関へ非正規の手数料や賄賂等が、場合によっては必要となる実情があるため、政府が主導し法令遵守を進める必要があります。
ベトナムの事業環境は、海外の企業から注目
ベトナムの事業環境は、さまざまな問題がある一方、それでも多くの企業はベトナムへ注目しています。政府は国内のビジネス環境の改善に力を注ぎ、今年の競争力ランキングで示されたように、良い結果が表れています。さらに、米中貿易戦争とベトナム政府が推し進める自由貿易協定の締結は、海外の企業から利益の見込みがある確かな理由となり直接投資の増加へと繋がっています。この兆候は、中長期的に続く可能性が示唆されています。