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ベトナム労働法 | 外国人の労働許可証(就労ビザ)の改正

  • 2021年1月より労働法が改正されます。
  • 改正労働法では、従業員の保護を強化し、国際標準に適合します。
  • 企業は、労働慣行を見直し、改正労働法に準拠する必要があります。

ベトナムの国会は、2021年1月に施行される改正労働法を承認しました。国際労働機関(ILO)のガイダンスに従い、労働規制の改正によって、ベトナムにおいても国際標準に適合させていきます。今回、改正労働法における重要な変更等を解説していきます。

改正された労働法の主な事項

労働時間

労働時間の制限は週48時間と同じですが、改正労働法では、通常の労働時間が1日8時間または週48時間を超えることはできません。ただし、雇用主と従業員が残業契約に同意する場合、最大で残業時間は、1日12時間、1か月40時間、1年200時間まで行うこおができます。特定の産業については、年間300時間までとすることが可能です。

▼上限300時間に該当する産業

縫製・繊維、皮革・履物、電気設備・電子製品、農林水産、塩、発電・配電、通信、製油、水道・下水道など

労働契約(有期雇用契約)

従来の労働法では、有期雇用契約(1年~3年)を2回締結した場合は、無期限雇用契約を締結する義務がありました。今回の労働法の改正によって、雇用者および従業員の間に有期雇用契約における同意がある場合に限り、無期限雇用の義務がなくなりました。

解雇従業員保護のため、従業員への虐待、妊娠、雇用主が給料の未払いが生じた場合、雇用契約を直ちに解除することができます。従来の労働法では、従業員は最低通知要件が適用されていました(無期限の場合は30日、無期限の場合は45日)。

労働組合

旧労働法では、ベトナムの労働組合は、国営のベトナム労働総同盟(VGCL)の監督下におかれていました。改正労働法では、独立した労働組合としての活動が許可されるようになります。

退職年齢

通常の労働条件で働く従業員の定年退職の年齢を、2021年から1年ごとに男性を+3か月、女性を+4か月と段階的に引き上げていき、2028年までに男性を現行の60歳から62歳に、2035年までに女性を現行の55歳から60歳にそれぞれ引き上げます。退職年齢の引き上げは、2040年からの労働力不足を回避し、社会保険が赤字とならないようにすることが念頭にあります。

差別

改正労働法では、職場における従業員への差別から、従業員を保護する規定が設けられました。これは、肌の色、人種、国籍、民族、性別、妊娠、政治的見解、障害、HIV、セクシャルハラスメントなどがが含まれます。改正労働法では、若年従業員の保護も強化しています。

祝日の追加

建国記念日(9月2日)の祝日の日数を1日追加して2連休となります。現行の9月2日に加えて、年によって9月1日または9月3日を祝日にすることとなりました。

労働法の労働許可証(就労ビザ)における改正点

labor law

外国人従業員はこれまで2年ごと労働許可証(就労ビザ)の更新が必要だったものが、4年ごとの更新で足りるようになりました。注意点としては、改正労働法では、当初の2年の経過時点で2年分の延長申請を行う必要があります。更新のたびに、犯罪経歴証明書(警察署)及び大学卒業証明書を手配する必要がありましたが、外国人従業員の諸手続きの緩和し、海外からの投資を呼び込むことが背景にあります。

改正労働法におけるその他の変更点

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政府は雇用主と従業員の間で交渉される個々の企業の給与政策を規制し ていませんが、最低賃金に関する規則に従う必要があります。従業員は 、ベトナム建国記念日の9月2日の前後に休日を設けることができます 。