,

ベトナムの主要な業界

ベトナムの情報技術部門は、低い人件費と高品質の労働力に牽引され、高い成長を遂げています。現在、ベトナムは世界で8番目に大きい電子機器・ITサービス部門の拠点となっています。

優遇税制によって政府から支えられ、その成長をさらに推進しています。ベトナムがローテク製造からサービス指向経済へと移行するにつれて、国の情報技術(IT)市場はますます勢いを増し、中国とインドのIT企業との競争に挑んでいます。

ベトナムへ投資する多国籍企業は、電子機器・電子部品産業からへの投資が顕著です。2017年の収益は、86%がハードウェアから生み出されました。世界的を代表するTholonsは、ベトナムをITサービスは世界で8番目に大きいサービスの提供国として評価しています。

最近では、サムスンが8つの工場と1つのR&Dセンターを建設しました。インテルは、ホーチミンにチップ組み立て工場と試験施設を開設しました。  

ベトナムの4つの主要な産業

このような力強い成長が見られる中でも、特に主要な産業は次の4つです。

ベトナムの注目の産業① | フィンテック産業

ベトナムのフィンテック産業は、2020年までに78億ドルの収益に達すると予想されています。中産階級の増加、インターネットの利用の増加、若い人口は、フィンテック業界にとって望ましい環境です。120社もの企業が、電子決済から資産管理、ブロックチェーンまで、幅広いサービスを提供しています。

その中でも、電子決済が最も人気のあるセグメントです。モバイル決済アプリのMoMo、Moca、Zalo Payが先導します。その次に、P2Pのセグメント、ブロックチェーン、暗号通貨と続きます。2018年、ベトナムはブロックチェーンに関する初めての国際会議を開催しました。

ベトナムの注目の産業 ② | 人工知能

ベトナムの人工知能セグメント(AI産業)は、大きな可能性を示しています。

発展途上である一方で、世界的な導入の流れを引継ぎ、ベトナムのAIにおいても、人材、教育、ヘルスケア、農業、輸送、eコマースへと適用が広がっています。

AIが国内でどのように使用されているかを示す良い例として、Viettel Groupは、AIを内視鏡検査に活用しています。ベトナム政府は、先進技術とインダストリー4.0で2025年までに企業数50%の増加を目的として、海外直接投資FDIを奨励しています。これはAIをさらに発展させるのに役立ちます。

ベトナムの注目の産業 ③ | ソフトウェアのアウトソーシング

shareoffice

ベトナムのソフトウェアのアウトソーシング業界では、過去10年間にわたって急成長を記録しています。米国を拠点とするソフトウェアベンダーのBetterCloudの調査では、ソフトウェア産業の73%の組織が、アウトソーシングを利用しています。

ベトナムは、中国やインドなどの従来の市場と比較して、安価なアウトソーシング先として注目されています。安価な人件費によって、ソフトウェア業界が2018年に88億米ドルの収益を達成するのに貢献しました。

ベトナム政府もソフトウェア産業の発展を促進しています。ダナンは、日本企業向けのソフトウェアのアウトソーシング先として開発されました。

現在の課題は、グローバル企業に対応するため、英語人材を育成する必要があります。

ベトナムの注目の産業 ④ | 教育技術

ベトナムの教育技術(Edtech)は、2018年に5,500万ドル相当の投資を受けています。

最近、ベトナムのベンチャー企業のエベレストエデュケーションは、香港から400万ドルの投資を確保しました。エベレストエデュケーションでは、ITテクノロジーを活用した個人の学習環境を提供しています。

ベトナムでは、最大で可処分所得の40%をも、教育に費やしている大規模な市場です。そのため、日本、シンガポール、韓国、オーストラリアの外国人投資家が強い関心を持ち続けるでしょう。

ベトナム政府に支えられた成長

政府はITへの投資を優先しています。IT企業は、最長4年間は法人所得税が免除され、その後、最長9年間は50%の減税が受けられます。また、その後でも10%の法人所得税率の軽減があります。なお、ITセクターで雇用されている労働者は、個人所得税の50%削減を含む、優遇政策が提示されています。

政府はまた、国中に先端技術を特徴とする工業団地の開発を数多く進めてます。これらの工業団地では、団地内における家賃の軽減措置、優遇税制措置などのインセンティブを与えています。たとえば、ダナンハイテクパークでは、法人所得税の優遇、輸入税の免除、ワンストップでの行政手続きの環境などを提供しています。

ベトナムの電子・IT産業の成長率は、年間30%程度伸びると予想されます。政府はITの開発及び環境整備の促進を進めています。

大学もまた、熟練した卒業生を数多く輩出しています。政府は2020年までに100万人のIT人材を育成したいと考えています。現在、毎年25,000人を超える技術者が大学を卒業しています。

 


鈴木 啓之(宅地建物取引士・簿記1級・英語 / 中国語)

宅地建物取引士。香港の日系最大手会計事務所を経て、ベトナムで独立創業。 ホーチミン現地で、仲間のベトナム人会計士たちと共に、日系企業をはじめ外資系企業に、不動産・会計・税務・監査と、ワンストップでサービスを提供。