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ベトナムの残業規制、残業代と補償

残業時間とその規制は、ベトナムにおける通常の労働時間を超えて勤務した時間を指します。
残業を理解することは、その国で事業を行っている企業のコストを計算する上で非常に重要です。

残業時間を規制する法律と補償、およびベトナムの近隣諸国との比較について簡単に説明します。
製造を行う企業がベトナムへ、着目する理由の多くは、ベトナムの安価な人件費です。
特に最近では、中国と比較して人件費が安価なため、中国企業を含む、中国からのベトナムへの移管が目立ってきています。

就業規則、残業規制を全体として言えることは、ベトナムは、社会主義共和国の残業及び夜勤規則として、基本的に中国で採用されているものと、近い側面が多くあります。

そして、通常の賃金体系を理解することは重要ですが、また
特定の事業に適用される残業規則を考慮することも非常に重要です。

ベトナム政府は、これらすべての規制を2019年の新しい労働法(法律第45/2019/QH14)および法令145/2020/ND-CPに列挙しています。これらの法律及び指針は、人件費を目的にベトナム進出を検討している多くの企業にとって、重要な内容です。

ベトナムの残業規制とは

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雇用主は、残業の定義を理解することが非常に重要です。
どこから、どこまでが残業と定義されるかを理解することは、制約時間における生産性最大化を意味します。

通常の労働時間は1日8時間、週48時間を超えることはできません。

重労働、危険環境において、勤務する従業員は、別途、法律は勤務時間を制限する場合があります。
例えば、危険物質、化学物質への暴露による労働制限を制限する規定があり、労働者がこれらの制限を超えた場合、残業代が適用されます。

一般的には、通常、設定された時間の閾値を超えて働くことは、残業となります。
勤務時間の超過として、週末、祝日、夜間が含まれます(22:00から6:00の間)

ベトナムの残業代の計算と補償

会社が残業を引き起こした場合、通常の賃金を超えて従業員に補償する義務があります。
これは、提供される賃金に関係なく、すべての従業員に適用されます。

  • 平日の残業      150%
  • 週末の残業      200%
  • 祝日・有給休暇の残業 300%
  • 深夜         300%

⇒実際に残業代を計算してみる

ベトナムの残業代への規制

注:従業員が働くことができる残業時間には制限があります。
新しい労働法によると、残業時間は、従来の30時間から40時間へ変更となり、それを超えることはできません。
また、年間300時間の残業までが許可されます。
これらには、電子製品、製造における高度な技術的資格者が含まれます。

妊娠、未成年者の従業員への残業

妊娠中、出産後の女性従業員

妊娠7カ月目から、出産後12カ月目までの女性は、残業、深夜勤務、長期出張が認められていません。
重労働に従事している女性は、軽作業に移すか、労働時間を短縮しなければなりません。

未成年者へのベトナムの労働法

ベトナム労働法はまた、18歳未満の労働者である未成年者に対して厳格な規制を定めています。
対象年齢の労働者は、危険な環境で勤務することを禁じられています。
15歳から18歳までの未成年の従業員は、最大で1日8時間、週40時間働くことができます。
15歳未満の労働者の場合、規制により、最大の勤務時間は1日4時間、週20時間と定められており、残業や夜間労働は許可されていません。
13歳未満の労働時間はさらに1日1時間に短縮されます。

ベトナムの残業規制と、中国との比較

中国の労働法は、従業員に対して同様の規制を定めています。
時間外労働をしている従業員は、少なくとも150%の率で残業代が支払われます。
休憩日/週末に行われる作業の場合、200%です。
中国の労働者は、1日1時間の残業のみに制限されて、特別な状況下では3時間までが可能です。
残業時間は、1か月、36時間までに制限されます。

中国の賃金上昇が続き、最近は、ASEAN地域への注目が高まっています。
特に、ベトナムは立地の優位性が高いものの、タイ、マレーシア等と比較して、まだまだ安価な人件費が魅力です。
より多くの企業が、ベトナムへ進出する流れは、今後も継続して続いていくと思われます。

 

 

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 ⇒ベトナムのIRC・ERC(投資登録証明書・企業登録証明書)の発給プロセス

 


鈴木 啓之(宅地建物取引士・簿記1級・英語 / 中国語)

宅地建物取引士。香港の日系最大手会計事務所を経て、ベトナムで独立創業。 ホーチミン現地で、仲間のベトナム人会計士たちと共に、日系企業をはじめ外資系企業に、不動産・会計・税務・監査と、ワンストップでサービスを提供。