IFRSとVASの会計勘定ごとの認識の違い(経理部・チーフアカウンタントの方へ)
2025年のベトナム会計基準(VAS)へのIFRS導入を向けた方針が打ち出されているものの、IFRSとVASとの認識には、大きな違いが残っています。今回は、IFRSとVASの会計上の「認識」の違いについて、経理部門、チーフアカウントの方に向けて、お伝えします。
IFRSとVASの各勘定の認識
のれん
VASでは、のれんは買収後10年以内の見積耐用年数にわたって償却され、年次減損評価の対象にはなりません。
有形固定資産の減損評価
IFRS会計では、有形固定資産(PPE:Property, Plant and Equipment)として認識し、資産価値評価のルールがあります。
VASでは、PPEの減損評価減は許可されていません。
無形固定資産
VASでは、20年以内の耐用年数にわたって償却され、償却累計額を控除する、直接控除方式(直接法)で認識されます。償却原価の再評価は、許可されてません。。
棚卸資産
VASでは、在庫評価方法として後入れ先出し、平均法を認めているものの、IFRSに準拠するために、先入れ先出し、または加重平均法に変更するように、推奨しています。
キャッシュフロー
IFRSでは、支払利息及び受取配当金は営業活動によるキャッシュフローとして分類されています。配当金の支払いは、財務活動によるキャッシュフローとして分類されます。
しかし、VASでは、詳細な規定がなく、現状、企業は配当、利息など、より柔軟に処理しています。
金融商品
IFRSでは、金融商品は「公正価値評価」の概念が導入され、定期的に評価をしなければなりません。また、金融商品から派生するリスクについても、説明が必要です。VASでは、取得原価法が適用されます。
IFRS | VAS | |
---|---|---|
のれん | 毎年、減損テスト | 10年以内の定期償却 |
減損評価 | 毎年、減損テスト | なし |
棚卸資産 | 先入先出 平均法 | 先入先出を推奨 |
キャッシュフロー | 厳格 | 柔軟 |
金融商品 | 公正価値 | 取得原価 |
宅地建物取引士。香港の日系最大手会計事務所を経て、ベトナムで独立創業。
ホーチミン現地で、仲間のベトナム人会計士たちと共に、日系企業をはじめ外資系企業に、不動産・会計・税務・監査と、ワンストップでサービスを提供。