ベトナムへの事業の移管、中国からベトナムへ移転するメリット【米中貿易戦争】
アメリカと中国の米中貿易戦争によって、ベトナムへの事業拠点の移転が急速に進んでいます。
2018年7月、米国のドナルドトランプ大統領は、中国の不公正な貿易慣行を主張し、中国の輸入品に衝撃的な関税を課し始めました。
多くの貿易専門家は、この米中貿易戦争はすぐに改善の兆しを見せておらず、世界中の経済に影響を与えていると述べました。
しかし、ベトナムにとって、米中戦争は実際に国の経済にプラスの影響をもたらしました。
現在、ベトナムは米中貿易戦争で最も恩恵を受ける国とされています。
ベトナムのGDPは、2019年の第1四半期に6.79%急上昇しています。
中国はアメリカへ製品を輸出できないため、多くの外国人投資家がベトナムに集まり、製品をアメリカに輸出するための施策を講じてきています。
この記事では、多くの中国企業がベトナムに工場を移転した理由と、ベトナムに拠点を移転することで、どのようなメリットとなるか、詳しく説明します。
ベトナムへの事業の移管、中国企業にとってメリット
中国企業は、アメリカからの関税の脅威と、人件費の継続的な上昇により、事業拠点を中国から他国へと移管する傾向が続いています。
アパレル業界では、この事業移管は顕著にみられ、今後も、中国企業のベトナムへの移管は、増加するものと予測されています。
ベトナムとアメリカの良好な関係
ブルームバーグによると、ベトナムのアメリカへの輸出は、2019年にはさらに690億ドルに増加しました。
これは、2018年の620億ドルに比べて大幅な躍進です。
ベトナムと米国は前向きな経済関係を維持しています。
2018年、アメリカに対するベトナムの貿易黒字は395億米ドルを超えました。
貿易戦争の進行が加速する中、ますます多くの中国企業(特に軽工業および製造業)は、高原価体質の中国から撤退するのに最適な時期として考えています。
ベトナムに市場シェアを渡す
アメリカ商工会議所が実施した調査によると、中国はベトナムへ市場シェアを譲り渡している産業が、いくつも見受けられます。
自動車のタイヤ、家具、冷蔵庫、繊維などが挙げられます。
つい最近、アメリカの企業のCooper Tire and Rubber Co Ltd と Sailun Vietnam Co Ltd は、ジョイントベンチャーを設立し、ホーチミン市の周辺にタイヤ工場を建設しました。
また、同じくアメリカの企業であるKey Tronic Corporationsは、ダナン周辺に製造施設を使用しはじめています。
ベトナムのインフラ開発
ベトナム政府は国のインフラ開発を、経済成長の最優先事項としています。
現在、発電所の建設を含む、不動産、港湾、橋梁、高速道路が建設中です。
ベトナム政府の安定性と低賃金
アジア地域の多くの近隣諸国と比較して、ベトナムのメリットは比較的安定した政府と安価な労働力と認識されています。
これは労働集約型の製造業にとって特に重要であり、そのため多くの中国企業は生産拠点をベトナムに移転しました。
2010年、ベトナムはNikeの主要製造国となり、初めて中国を上回りました。