ベトナム会計基準の概要
国内で事業を行う現地および外国投資企業は、法律により、金融取引を記録する際にベトナム会計基準(VAS)に準拠することが義務付けられています。
実際、多くの外資系の現地企業はVASに沿った会計システムを適用し、親会社の参照のために四半期ごとに国際財務報告基準(IFRS)、または各国の会計基準に即した基準へと修正を行っています。
外資系企業が選択できる通貨は、ベトナムドンの他に、外貨が認められています(貿易等を外貨の取扱いが多い業種)。しかしながら、外貨が通貨単位として選択される場合は、選択した外貨で財務諸表を作成することを継続しなければなりません。通貨単位の変更は、会社の取引に重大な変更がある場合などの特別な状況に限られるため、事業を開始するにあたって注意が必要です。通貨単位が外貨の場合でも、ベトナム当局へ提出する前には、ベトナムドンに換算しなければならない点も留意する必要があります。
VASは次の会計記録を必要とします。
- ベトナム語(外国語と併記が可能)
- 通貨はベトナムドン(VND)を使用、外資系企業(FIE:Foreign InvestedEnterprises )は外貨の選択が可能
- ベトナムの勘定科目表への準拠
ベトナムの会計期間
ベトナムの会計期間は、通常、1月1日から12月31日とされます。ただし、各四半期の初日から始まる12か月の期間を、独自の会計期間として定めることができます。4月1日から3月31日、7月1日から6月30日、10月1日から9月30日と定めることが可能です。
ベトナムの会計基準に準拠しているか確認が重要
外資系企業は、定期的に会計基準を再確認し、ベトナム会計基準VASに準拠していないか、違法な点がないか注意を払う必要があります。最近では、ベトナム会計基準VASの違反を根拠として、追徴課税のケース、VAT還付金の回収などは、珍しくありません。
すべての外国投資企業は、独立監査法人による監査を受ける必要があります。ベトナムの法定監査は、ベトナム監査基準に従って実施され、会計監査人によって承認される必要があります。
監査済みの財務諸表の提出及び確定申告は、各会計年度末から90日以内に行われなければなりません。多くの外資系企業は12月決算としていること、あえて、12月以外の月を決算月とすることで、監査法人の報酬を下げることが可能です。
ベトナムの会計基準・会計期間と、日本との比較
日本 | ベトナム | |
---|---|---|
会計期間 | 自由 | 原則:1-12月 例外:四半期ごと |
会計基準 | 日本会計基準 (企業会計原則) | ベトナム会計基準(VAS) IFRS導入 2025~ |
機能通貨 | 日本円 | ベトナムドン 一部外資系:外貨 |
文書保管 | 7,10年 | 5,10年,永久 |
宅地建物取引士。香港の日系最大手会計事務所を経て、ベトナムで独立創業。
ホーチミン現地で、仲間のベトナム人会計士たちと共に、日系企業をはじめ外資系企業に、不動産・会計・税務・監査と、ワンストップでサービスを提供。