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  • ベトナムの観光業は国の経済発展の重要な柱であり、ベトナムのGDPに6%貢献しています。
  • ベトナムは2020年に約1700万から2000万人の観光客が訪れると予想しています。
  • ベトナムの観光業の魅力を高めるため、ベトナム政府はインフラのプロジェクト、人材の育成への改革を進めていきます。

ベトナムのGDPに6%以上貢献している観光は、ベトナムの経済発展にとって最も重要な原動力の1つです。2011年、政府は「2020年までのベトナムの観光開発戦略、2030年までのビジョン」を発表し、都市と地方における観光産業の促進のためのガイドラインを提供しました。

ベトナム政府は、戦略の一環として、2020年には1,700万から2,000万人の外国人旅行者を誘致することを目標としています。

ベトナムのハノイ・ビンズオンは、主要な観光地

ベトナムの観光地、ハノイにおける観光目標

ベトナムの首都ハノイは、2019年も好調を維持しています。2019年の最初の9か月で、ハノイは2150万人の訪問者を受け入れ、500万人の海外からの旅行者でした。前年比で10%の増加にもなります。ハノイ市はまた、2020年4月の国内初のF1レースに向けて準備を進めています。ベトナム政府は交通インフラの工事を進め、外国人観光客向けのビザ免除の拡充に取り組んでいます。ハノイにおける国際的なイベントのおかげで、ハノイへの訪問者の数が大幅に増加することが予想されます。

ベトナムの観光地、ビンズオンにおける観光目標

観光のための他の州の開発を優先するという戦略の目的により、ビンズオンはベトナム南部で2番目に人気のある目的地になり、ホーチミン市に次ぐものになりました。ビンズオン省は、独自に「2020年における、ビンズオンの観光開発戦略、2030年までのビジョン」を公表し、観光産業を推進していきます。戦略には、「ビンズオンの春」、「ビンズオンのストリートフード2019」など、ビンズオンの独特の料理、文化を旅行者へ紹介するために、通年の幅広い活動が含まれます。

ビンズオンは2019年の最初の9か月で24億米ドル以上の外国投資を集め、前年比81%増加しました。ホーチミンの600万人の旅行者の次に、500万人の旅行者がビンズオンに訪れました。 

ベトナムのメディカルツーリズムの成長

ベトナムは、東南アジアにおけるメディカルツーリズムのキープレーヤーとして浮上してきます。2017年、80,000人の外国人観光客が健康診断や治療を目的として、ベトナムに訪れ、合計20億米ドルもの消費を記録しました。メディカルツーリズムは、毎年18〜20%成長すると予測されています。

外国人の患者に対するベトナムの魅力の主な理由には、ベトナムが東南アジアの中心に位置すること、政治的安定性、手頃な価格、比較的良い医療のためです。

メディカルツーリズムの主要な場所は、フーコック、ブンタウ、ニャチャン、ダナンです。これらの地域における観光リゾート施設は、医療と観光を組み合わせた、より適した施設の建設を進めています。

ベトナムの観光業を支えるインフラと人材

vietnam infrastructure

ベトナムの観光業を支えるインフラ

ベトナムのインフラへの投資は世界平均の2倍となります。

ベトナムの主要空港の稼働率は、ベトナムへ訪れる観光客を十分に満たせていません。2019年において、飛行機を利用しベトナムへ訪れる外国人観光客は増え続けました。

ベトナム空港公社(ACV)によると、ホーチミン市のタンソンニャット空港は2015年以降改修が行われておらず、30%の過剰の稼働率を記録しています。ハノイのノイバイ国際空港も15%の過剰の稼働率と報告されました。飲食店の数を減らしたり、カウンターを整理したり、待合室を増やしたりするなど、いくつかの短期的な対策を導入していますが、さらに多くの施策が必要となります。

長期的な対策には、大都市のインフラへの負担を軽減するため、主要観光地に新しく空港を建設することも重要です。

ベトナムの観光業を支える人材

ベトナムの観光産業は、人材の質と量、ともに不足しています。多くの研修プログラムが用意されていますが、要件はまだ満たされていません。ホテルなどは、ハウスキーピングや顧客対応を十分に行える、有能な人材はなかなか見つけられていません。外国語を話せること、顧客対応の技術は、観光業の全般に必要とされるスキルのため、研修プログラムによる人材育成に、業界全体として力を入れています。

現在、観光業では年間約40,000人の従業員が必要です。しかし、観光業を専攻する学生の数は15,000人です。期待される成長産業にもかかわらず、隣国タイに労働生産性で差をつけられてしまっています。ベトナム政府の戦略として、観光の促進と合わせて、観光業を支えられる人材の育成も掲げています。

ベトナムの観光業における成長目標

東南アジアに訪れる外国人旅行者のシェアでは、ベトナムは14%(2018年)と過去3年間増加しています。しかし、観光業を支えるインフラ及び人材において、課題は残されています。これらの問題への対処、改善を進め、ベトナムは他のASEAN諸国と対等に競争し、ベトナムの魅力ある自然や文化遺産を発信することが期待されます。


鈴木 啓之(宅地建物取引士・簿記1級・英語 / 中国語)

宅地建物取引士。香港の日系最大手会計事務所を経て、ベトナムで独立創業。 ホーチミン現地で、仲間のベトナム人会計士たちと共に、日系企業をはじめ外資系企業に、不動産・会計・税務・監査と、ワンストップでサービスを提供。