VASとIFRSの違い:ベトナムの会計基準の特徴ご紹介
ベトナム会計基準である(VAS)は、国際財務報告基準(IFRS)を基礎として採用されています。国際財務報告基準のIFRSは、国際会計基準委員会(IASB)によって発行および規定されているグローバルな会計基準であり、財務報告の作成と表示を示しています。
VASとIFRSの間には、重要な違いがあり、重要な点をご紹介します。
ベトナム政府は、IFRSに基づいてVASを発行しています。これらの基準についてベトナムの地元企業および外国企業を対象にガイダンスするため、財務省は、企業の比較可能性と透明性を高める通達、No 200/2014 / TT-BTCおよびNo. 202/2014 / TT-BTCを発行しています。
VASとIFRSの違い:財務諸表の表示
IFRSに基づく財務諸表では、主に次のもので構成されます。
- バランスシート
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
- 持分変動計算書(株主資本変動計算書)
- 注記及び附属明細
VASに基づく財務諸表の構成要素は次のとおりです。
- バランスシート
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
- 注記及び附属明細
注目すべき箇所は、ベトナム会計基準では、持分変動計算書は財務諸表の主要な構成要素としてではなく、注記として扱われます。さらに、ベトナム会計基準では、経営者の重要な意見判断、推定の不確実性の開示等を要求していません。
日本の会計基準でも、IFRSと同様に株主資本変動計算書の作成が求められています。ベトナムの現地法人においても、このようなケースでは、株主資本変動計算書の作成が認められています。
VASとIFRSの違い:ベトナム独自の勘定科目コード
ベトナムの財務省は、企業の財務諸表の統一勘定科目表を発行しました(通達No. 200/2014 / TT-BTC)。各企業が統一された勘定コードを利用することで、企業間の比較可能性を可能にしています。比較可能性は、同一企業における過去と現在とを比較する、期間の比較可能性と、他企業と当該企業とを比較する、企業間の比較可能性がありますが、統一の勘定コードで非常にその比較が可能になります。
VASとIFRSの違いに
ベトナムで事業を行うすべての外国企業および現地企業はVASに準拠する義務があります。今回は、主要な2点の違いをご紹介しました。細かいことにはなりますが、借入金を利用して固定資産を購入した場合の借入費用の取扱いなど、その他にも、さまざま点で相違があります。
外資系企業は、法的要件を十分に理解し、正しい情報に基づいた投資決定を行うために、ベトナム現地の会計・法律に詳しい専門家へご相談することをお勧め致します。
⇒VASとIFRSの認識の違い(経理部・チーフアカウント向け)
VASとIFRSの比較表
VAS | IFRS | |
---|---|---|
財務諸表 | バランスシート 損益計算書 キャッシュフロー計算書 注記及び附属明細 | バランスシート 損益計算書 キャッシュフロー計算書 持分変動計算書(株主資本変動計算書) 注記及び附属明細 |
会計コード | 統一勘定科目表 (通達No. 200/2014 / TT-BTC) | ー |
宅地建物取引士。香港の日系最大手会計事務所を経て、ベトナムで独立創業。
ホーチミン現地で、仲間のベトナム人会計士たちと共に、日系企業をはじめ外資系企業に、不動産・会計・税務・監査と、ワンストップでサービスを提供。